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【第1回】選手のコメントを読み解く(田村治郎・佐藤摩弥・吉原恭佑)




吉原恭佑(32期、伊勢崎)~嘆きのよっさん~

メキメキと実力を付け、頭角を現して、進境著しい吉原選手ですが、コメントに関しては完全に”泣き系”です。
「いやあ、ダメっす」「ひどいです」「完全にやられました」「整備の失敗です」ととにかくトーンが上がってきません。まさに”嘆きのよっさん”です。

吉原選手の取材は、まずは「順調に成長しているから大丈夫です」と励ましの言葉からスタートするのがほとんどです。
「よくない、悪い」と口にしている時でも好走することも多いのでコメントを解釈するのが難しい選手ですが、だからこそ「今回はいいです」という前向きなコメントが出た時の信頼性はかなりです。

吉原選手の悩みは「跳ね」です。いわゆるドドドです。跳ねる症状の時は、例え状態が良くても凡走の確率が高まってしまいます。
試走が出ても、コメントに「跳ねがある」とあった時は用心した方がいいです。

逆に跳ねがない時は、試走劣勢でもレースでグイグイと足を伸ばしてくるケースがあります。
「跳ね」の有無は本人のコメントでしかほぼ確認できないので、ぜひ注視してほしいところです。
これだけ成績が伸びているのに、嘆きを繰り返すということは吉原選手の「志し」の高さに起因しているように思います。
もっとできる、もっとやれるという自信の裏返しが嘆きを生んでいるような気がします。

普段は穏やかで、冗談を言うと「マジですか??」とすぐに本気で信じてしまうような素直でぼくとつな青年という感じですが、
ライバルたちから「ヘルメットをかぶると人が変わる」と言われるほど、アグレッシブに闘争心をむき出して競走します。
そのギャップに自分は好感を持っています。

どの選手よりも最後の最後までロッカーに居残って働いて、「もうヘトヘトですよ~」と最後の最後まで嘆きながら宿舎へ引き揚げる吉原選手
その仕事量と根性むき出しの走りで、いつか「最高の状態で優勝できました」という言葉を聞かせてください。

(文責・淡路哲雄)

レースデータ提供:公益財団法人JKA
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