トップ

【第2回】スタートの奥義(青木治親・益春菜・中村雅人)



【プロライダー経験の利点・青木治親&益春菜】

2004年にロードレース界からひとりのチャンピオンがオートレース界へ移籍してきた。

29期生、青木治親
世界のバイク界をねじ伏せた男は公営競技界でもタイトルを手にした。

そして、後進たちへの道を作った。
青山周平、岩田裕臣、渡辺篤、佐藤裕児など多くの後輩たちが続々とオート界へやって来た。

そしてロード界からだけなくモトクロス界から佐藤摩弥が門を叩き、2011年、ここに44年ぶりの女性選手が誕生した。
さらに不世出の大女王、益春菜が2013年から参戦することになり、モタード界からも松本康が集結し、現在の構成図が出来上がった。

世界や国内のトップレベルで実績を残して猛者たちだが、オートレースでは後方から追い上げるさばきに悩んだり、
雨に濡れる走路に翻弄されるケースは少なくない。

しかし、スタートはほとんどの選手たちが業界トップ級の切れ味を披露している。
そこに何か要因はあるのか。

先駆者の青木が説明してくれた。
「まず、プロのバイク選手を目指す人はだいたい子どもの頃からバイクに乗っています。
自分も幼い頃から乗っていましたからね。
何というか、クラッチを握ったり、離したりする感覚を小さい当時から体で覚えているんだと思います。左手の感覚です。
その感覚が一番役に立つのがスタートなんじゃないですか。

あと、バイク経験者はバイクの限界を知っているんです。
スタートした瞬間に前輪が浮くと、そこで躊躇したり、恐怖を覚える選手はいると思いますが、ロードを経験した人間だったら、
さらにそこからどこまで行っても大丈夫なのか、バイクの限界がわかっているんです。
だから、選手になってからバイクに乗った人よりもスタートに関しては思い切って行けるんじゃないですかね」



その意見にも同調した。
「ああ、それはあると思います。私はモトクロスで走っていましたが、モトクロスはオート以上にスタートの攻防が勝敗に大きな影響を与えるんです。
しかも、走路は土や泥ですからね。しっかりグリップしていないところで全力で切っていくわけですから、モトクロスを経験した人でオートのスタートを切れない人は少ないと思います。

みんなスタートだけは行けると思います。クラッチ操作に慣れているんです。
スタートを行ければレースは本当に楽になります。抜かなくていいんですからね(笑い)。

私の場合、スタートはエンジン状態に左右されますね。いい時はやっぱり出る可能性が高くなります。
0メートルオープンで好きな枠は3、4あたりです。いいタイミングで出れば、回れますから。
時計が見やすいのは地元の川口と浜松もいやではないです。
スタートが速いなあと思う選手は鈴木宏和です。彼はすごいです(笑い)。あと荒尾さん、篠原さんも切ってきますね。

あっ、あとひとり忘れていました。圭一 郎!って、圭一郎はスタートだけじゃなくて、すべてが速いですね~(苦笑い)」

そして、青木が再び、スタートについて教えてくれた。
「0メートルオープンのタイミングは10近辺では遅いです。
03から05ぐらいで出ないと厳しいです。自分は晴れの方が思い切って行けます。
どういうわけか伊勢崎はタイミングが難しいです。フライングばかりしているイメージがあります(泣)。
最近は本当にみんなスタートが速いです。有吉さんは健在だし、圭一郎周平はいつも出ます。ここぞの時の荒尾さんも速い。
同期のタカヤと岩見も速いなあ。あとは篠原さんですね」

レースデータ提供:公益財団法人JKA
(C)Autorace Mobile
(C)2024 CYBIRD