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【第1回】スタートの奥義(佐藤貴也・岩見貴史・有吉辰也)





スタート。

競走する選手にとっても、車券予想をするファンにとっても、
「スタート」とはオートレースという競技において特に大きな意味を持つフレーズである。
永遠の命題でもある。

会心のスタートを決めた選手は、その後、レースの序盤で大きな展開利を手に入れるチャンスが増大する
。つまり好走の可能性もまた増えるのである。

車券購入するファンは、どの選手がどうスタートを切っていくかを予想することで的中に近づいたり、または遠のいたりしていく。
「スタート」を自分の味方にすることができたら、攻略することができたら、選手にとってもファンにとっても、この競技で勝利していくためにこれ以上にない武器となる。

しかし、スタートとは実に不思議で、不可解なものである。
エンジン作り、展開メイク、さばき、雨走路攻略。
選手たちはキャリアや練習、鍛錬を重ねることで、各ツールの技量を高めていく。

しかし、スタートだけは違う
タイトルを手に入れることができる一流選手が時間をかけて改良に取り組んでもなかなか結果がでなかったりするケースは少なくない。
逆に、1級車に乗り代わった瞬間にSGレーサーの先を行くダッシュを決める新人もいる。
業界有数の追い込みを誇る角南一如選手をルーキーが序盤で突き放していく。

現在、最速級のスタート力を備える32期生の鈴木宏和選手は「養成所のころから切れていました」と語り、
角南選手は 「う~ん、練習は続けているんですが…」と苦笑い混じりに首をひねる。

前回の「雨」に続いて、今回は「スタート」のみに質問を集中させて、深く掘り下げる企画をお届けします。
スタートほど、各選手の意見、取り組み、発想が異なるものもないのではないか。
ある選手は練習が大切と話し、またある選手は練習はそこまで必要ないと語った。
実際にスタート力に定評ある篠原睦選手、木村武之選手はそこまで練習に向かっていない。
それでも本番では誰よりも先に1コーナーへと飛び込んでいく。

スタートはタイミングが肝心という選手は多いが、タイミングは関係ないと言う選手も一人や二人ではなかった。
スタートの速い選手はライバルたちからアドバイスを求められることがある。
有用なアドバイスを聞き入れることはスタート改善の近道になりそうなものだが、
昨年末のスーパースター王座決定戦大会でトップスタートを連発した佐藤貴也選手
「個人的な意見ですが、アドバイスを聞いて速くなるとは思えない」と話した。

女子選手にスタートで悩む選手が少ないことには理由があるのか。
青木治親選手、青山周平選手、渡辺篤選手、岩田裕臣選手,、そして佐藤摩弥選手、益春菜選手
他カテゴリーからトラバーユしてきた選手が圧倒的なダッシュ力を備えることにも大きな要因があるのか。
何が正解で、何が違うのか。
ベテラン、新人、巧者、課題を残す者、各選手のコメントを数回にわけて紹介していきます。

ユーザーのみなさんの車券的中の手助けとなり、よりこの競技の奥深さが伝わることを願って。

レースデータ提供:公益財団法人JKA
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