■ジェット社
SG日本選手権を振り返ります。
走路としては、3日目に湿走路となり4日目の前半まではブチ走路でしたが、比較的に天候に恵まれた開催だったと思います。
準決勝戦ではSG優出常連となる中村雅人選手、佐藤摩弥選手、金子大輔選手、佐藤貴也選手、荒尾聡選手に、鈴木圭一郎選手までもが優出を逃すという波乱がありました。
中でも度肝を抜かれたのは吉林直都選手。初のSG準決勝で0Mオープンの1枠を乗りこなし、初SG優出を決めました。
SGの中でも最高峰の日本選手権であり、またスーパースター王座決定戦トライアル出場をかけた最後の戦いということもあり、準決勝から激闘が繰り広げられましたね。
そんな中、優勝戦は以下のメンバーとなりました。
【優勝戦】
0mオープン戦・10周戦・良走路
()は試走タイム・[]は枠番選択順
①有吉 辰也 (3.30)[1]
②鈴木 宏和 (3.31)[2]
③青山 周平 (3.29)[3]
④永井 大介 (3.31)[6]
⑤佐藤 励 (3.27)[5]
⑥丹村 飛竜 (3.29)[7]
⑦早川 清太郎(3.29)[8]
⑧吉林 直都 (3.31)[4]
枠番選択は、まず5連勝で得点1位だった有吉選手が1枠を選択。2位の鈴木宏選手は2枠、3位の青山選手は3枠と順番通りでしたが、4位の吉林選手がなんと8枠。
吉林選手は節間、1枠、4枠、8枠でスタートを切っており、4枠のイメージが悪く1枠か8枠が良かったので、8枠を選んだとのコメントがありました。
そして5位の佐藤励選手は、4枠が空いているのに5枠を選択。
コメントでは「練習で5枠6枠の時に良いスタートが切れたから5枠を選んだ」と言っていました。
オッズは、5連勝だった有吉とナンバーワン青山選手の2車が人気でした。次位には、試走一番時計で勢いがあった佐藤励選手、枠的に有利な鈴木宏選手で売れていました。
そしていよいよレース開始。スタートは注文通り1枠から有吉選手がトップスタートを決めると、2番手には鈴木宏選手、3番手にはなんと佐藤励選手が付け、青山選手は4番手発進という形に。
有吉-鈴木宏-佐藤励-青山で差が無い隊列となり、1周回から誰が先に仕掛けるか?超緊迫した状態。
そんな中、2周回3コーナーで佐藤励選手がさっそく鈴木宏選手に仕掛ける。しかし3周回1コーナーで鈴木宏選手がやり返し、2番手争いで勇み足が発生。
そうこうしている間に、先頭の有吉選手は約10Mのアドバンテージを確保。これに対し、人気だった青山選手は4番手から動けず・・・。
佐藤励選手が2番手に浮上したのは3周回3コーナー。人気対抗だった青山選手の追撃力は芳しくなく、ここからは有吉選手と佐藤励選手の一騎打ちムードに。
ここから佐藤励選手が先頭の有吉選手にジワジワ詰め始め、7周回にはついに有吉選手の背後に付ける。
そして8周回3コーナー。佐藤励選手が有吉選手をインからとらえて先頭を奪取!
その後は有吉選手をどんどん引き離して行き、文句無しの1着ゴールを決めました!
注目の3着争いは、鈴木宏選手と早川選手の激闘を制した青山選手となり、結果は、優勝:佐藤励、2着:有吉辰也、3着:青山周平の5-1-3となりました。
3連単の配当は2,070円でした。1番人気の1-3-5の750円、2番人気の3-1-5の850円に比べれば、そこそこ良かったと思います。
これで佐藤励選手は、SGオールスターに続きSG2冠となりました。
SGオールスターの時は、残り1周半まで4番手にいながら劇的な優勝を飾り、今回は文句の付けようがない見事な優勝でした。
優勝後のコメントでは、自分を育ててくれた先輩達、師匠の阿部剛士選手、おじいちゃんや両親をはじめ、たくさんの人へ感謝の気持ちを伝えていました。
またレースに関しては、「試走は今節の中で1番良くレースまで時間が長かったが、気持ちを切らさないよう、車を信じて待っていた。
スタートはすごく切れた。タイヤを使いすぎないように落ち着いて、有吉選手をさばいていこうと思った。
10周回は興奮しすぎてレース内容はよく覚えてない。神経と集中力を研ぎ澄まして走ったから、もう倒れそうです。
自分のような若手が出てきて、オートレースはもっと面白くなると思う。今後もよろしくお願いします。川口オートレース場にもぜひ来てください」といったコメントが聞かれました。
一方、有吉選手は悔しかったでしょうね。一時は「日本一スタートが早い男」と称された選手です。鈴木宏選手や青山選手がいる中、見事にトップスタートを決めました。がしかし佐藤励選手が完調だっただけに、今回は相手が悪かったです。
3着だった青山選手は、「状態は悪くなかったけど・・・。スタートからまたいろいろ修行します。頑張ります。みんな速い。悔しいけど、これが結果です」とおっしゃっていました。ナンバーワンのさらなる進化が期待されます。
それにしても今年はオート界の勢力図が大きく変わりました。
2016年後期からS1となった青山選手。そこから現在の2025年まで、S1は青山選手か圭一郎選手かのどちらかで、2強時代となっていました。
今では黒川京介選手しかり、佐藤励選手が頭角を現し、まさに「四天王時代」というか「4強時代」が幕を開けたと言っていいでしょう。
年末のスーパースター王座決定戦を飛び越えて、今すでに来年度前期のランキングが楽しみです。