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川口G1開設記念グランプリ振り返り


■ジェット社
今月上旬に行われた川口G1開設記念を振り返ります。

初日~3日目の準々決勝までは、0・10・20Mのハンデ戦で行われ、4日目の準決勝からはハンデ前の選手達が重化され、準決勝は0・10Mのハンデ戦、または10Mオープン戦となりました。近年のG1・G2では定番のハンデ変動ですね。

そして優勝戦。
ちなみにこの川口G1開設記念の優勝戦は、ここ3年は優出メンバーが全員最重ハンデの選手でも、10Mオープンで行われてきました。
これはオート界を凌駕している青山周平選手と鈴木圭一郎選手の優出により、10Mオープンにしたと思われます。
特にインパクトがあったのが去年2023年の10Mオープン戦です。優出メンバーが超豪華で、ランク最下位がS19位の小林瑞季選手でした。それでも10Mオープン戦だったんですよね。

そんな中、今回の優勝戦は無差別の0Mオープン戦で行われました。
これは、青山選手と圭一郎選手と拮抗する勢力があり、フラットでレースができると判断されたのでしょう。まさにSGの優勝戦みたいな番組となりました。
0Mオープン戦
①青山 周平(3.26)
②永井 大介(3.28)
③佐藤  励(3.25)
④中村 杏亮(3.29)
⑤木村 武之(3.30)
⑥佐藤 貴也(3.28)
⑦小林 瑞季(3.27)
⑧鈴木圭一郎(3.26)
※()内は試走タイム

オッズは1枠が得意な青山選手から、試走一番時計だった佐藤励選手と、8枠ながらナンバーワンの圭一郎選手で売れていました。

レースはなんと5枠の木村選手がトップスタート。2番手争いは青山選手が突っ張りを図るも2コーナーで流れてしまい、そこに6枠の佐藤貴選手と8枠の圭一郎選手が付け込み5ー6ー8隊形に。
この瞬間、波乱が起きそうな予感がしました。がしかし、ここからの青山選手がすごかったです。

2周回1コーナーでは、青山選手が圭一郎選手をインから強引に突破し、3番手を確保しました。
レース中盤では、佐藤貴選手が木村選手をかわして先頭に。これに青山選手も続き2番手に浮上。

レース終盤は、佐藤貴選手がインを閉めて変則走法で封じ込みにかかりました。
青山選手はなかなか攻略できず、圭一郎選手と木村選手を突破してきた3番手の佐藤励選手が虎視眈々とインを覗き込んできました。
そして最終回の3~4コーナー。歴史に残る超絶テクニックが炸裂しました。

先頭の佐藤貴選手がインを閉めていたため、青山選手は車を外に持ち出し、佐藤励選手が青山選手のインへ突っ込んできました。青山選手としてみれば後輪と前輪がダブルで接触しそうな限界ギリギリのラインでした。
しかしこの時、なんと青山選手は佐藤励選手を被せながら、佐藤貴選手の狭いインの隙間を縫い、立ち上がりでかわして見事優勝しました。

私は小学生の時からオートレースを見ており、この仕事に就いてから約17年も経ちますが、なかなか見れないすごいレースだったと思います。

優勝後のコメントでは青山選手は「無我夢中に走りました」と言っていましたが、無我夢中でできる技ではありません。
あくまでも私個人の見解にはなりますが、佐藤貴選手がインに突っ込んでハラみ気味になることを計算し、あえて外に気配を見せて、よりハラまそうと揺さぶっていたように思えました。そこに佐藤励選手が懐を覗いてきましたが、開けたして高速でインを旋回できる技術があるからこそ、できる技だったのではないでしょうかね。まさに青山選手しかできないさばき方でした。

青山周平選手はこの優勝で99Vとなり、100Vに王手をかけました。

レースデータ提供:公益財団法人JKA
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