■沢朋之
浜松では、そして日本選手権としては初となったSG6日制。
まずは6日間・72個レース全てが良走路のもとで行われたのは奇跡というべきか。
予選道中ではハンデ重化組が苦戦。10Mオープンと違い、内からランク順とはいかず、オールOオープンの枠番抽選となればランク下位選手にとっての有利材料は何もなく、ただただクジ運とスタートの切れのみ。最高峰レースとしてはこれも当然のこと。
最重ハン選手と元々10M前の選手とではスタートのレベル差が歴然で、無理をすればフライングに。今年の選手権では例年になく赤灯が多かったような。
予選後半の3日目あたりでは、着々とポイントを重ねた上位勢がぶっちぎりの様相。
迎えた5日目準決勝戦。
9Rでは好枠注目の②荒尾聡がスタート空転させ万事休す。ここも大外カマシ発進決めた⑧黒川京介もバックで滑らせ後退。そこを一気にマクリで抜け出したのは新鋭・④長田稚也。先頭を行く③木村武之を一気に外からかわすと、⑤高橋貢もそれに追走。共に人気薄だった両名のワンツーは3連単29万円弱のスーパー配当に。
10Rは②有吉辰也のトップスタートを、地元カリスマ・③伊藤信夫が序盤で逆転成功。やや飛ばされた有吉だったが見事な立て直しで2番手に戻す。そのままのワンツーは2連単本命筋決着も、3着に伏兵①田村治郎が入って3連単はやや配当アップ。
11Rでは地元スタート王・①鈴木宏和がスタート空転させ後退。センターから④永井大介、外から⑦青山周平が出てマンツーマン展開に。何度も仕掛けんとする青山を永井が最後までおさえ倒しての1着。元船橋両雄による息詰まる8周回となった。
12Rは④鈴木圭一郎に人気集中も、トップスタートは③佐藤摩弥。2番手に付けた圭一郎の猛攻に、前半は伸び返して抜かせない快走見せるも、ややペースダウンし始めた4周3Cでついに逆転許す。それでも⑧佐藤貴也の追撃を振り切って選手権優出を決めた佐藤摩にスタンドの歓声が飛んだ。
そして最終日優勝戦。
前日の枠番選択では、選択権1番の鈴木圭が⑤枠を選択。その後も①枠を取る選手がおらず、準決勝2着の青山周がインにおさまるという予想外の流れとなり、当日までその件で騒然とする中でのスタートに。
トップスタートは③永井。①青山が内、⑤鈴木圭が外で並んで2番手で追う。⑥有吉が鈴木圭に絡む中、先に仕掛けたのは青山。2周1Cで永井をイン差し逆転で先頭へ。
その後、目を引いたのは有吉の動き。4周1Cで鈴木圭をマクリで仕留めると、5周バックでは永井にも強めにイン差し仕掛ける。しかしその瞬間、大きく滑らせ後退…。エンジン的には優勝まであったかと思わせる出来だっただけに何とも残念なひと滑りであった。
後半は元船橋勢3車が後続を離す展開に。最終3Cで鈴木圭が永井をマクリでかわして2番手に上がるもそこまで。青山周が終始盤石の動きで逃げ切り、自身4度目の日本選手権制覇となった。
準決勝を見事勝ち抜いて、ほぼ絶望視されていたSSトライアルの権利を得た永井大介、高橋貢の両ビッグネーム、その高橋を最後かわしての4着でこちらもSS行きを決めた長田稚也の動きも印象的だった。