先日行われた浜松久々のSG・全日本選抜の最終日。この日のみの補充出走ながら人気となり、レースでは好スタートからの2着。場内を大いに沸かせた山浦博幸選手の近況好調ぶりに注目だ。
1月の飯塚GI開設記念では、ブチ走路の準決勝戦で3着。惜しくも優出はならなかったが、従来雨は苦手のイメージだけに3着は上出来。
この日は王者・高橋貢と同じ試走一番時計。前日の準々決勝戦の湿走路試走でも鈴木圭一郎選手と同じ一番時計と素晴らしい動きを示し、準決勝の当日朝には「昨日はピットで(試走タイムを見て)一人でニヤニヤしちゃいました」と、茶目っ気たっぷりに話す。
飯塚新走路の外が利く湿走路なら、上位とも十分渡り合えることを証明し、他場でも外が利く状況なら雨要注意の存在だろう。実際ここ数年、以前は限りなくゼロに近かった全国湿勝率も上昇中だ。
そしてその後の飯塚普通開催(2/6~9)では③(湿)②①。続くミッドナイトでは⑥①①着と、いずれも勝ち上がりは逃したものの2節連続で高い連対率を残し、前述のGI戦と合わせて飯塚巧者ぶりを印象付けた。
地元浜松で取材を続ける私の目から見ても、近況のエンジン安定ぶりは自信を持って印を打てるレベルであり、10M前の位置は多くのレースでハンデチャンスを感じる。冒頭から雨の話ばかりしてきたが、晴れでも常に車券圏内狙える現況だ。
元々大外ブン回しの車速派の割には試走偏差が小さいという個性もあり、個人的には抜け出し・逃げよりも、メンバー・展開的にツボにはまった時の追い込みレースに魅力ありと見ている。
本人は「(自分は)ツメが甘い」と言い、逃げ展開から最後は最重ハンに逆転許すシーンも確かにあるが、これまでの生涯成績を見てみれば「1着207回・2着208回・3着199回」と、1~3着までほぼ同回数であり、決して「最後捕まって2・3着」のレースが多いというわけでもない。
整備に関しても、動きの悪さを感じれば、時として大胆にセッティングを変えたり、パーツ交換もためらいなく行う。節間で動きがガラリと変わることもしばしばで、試走で前日からの変化を感じればすかさず狙い中心とするのがいいだろう。
同格中では劣勢と言われたスタートが良化中。そしてインから捌く場面も増えてきた近況だけに、基本的な展開予想も改める必要がありそうだ。
今年40歳を迎えるというのが信じられない童顔のイケメン。闊達な性格でロッカー内では陽気なまとめ役。整備で車に向かい合う際、時として厳しい勝負師の目つきとなるのもまた魅力的な山浦選手。
周囲を気遣いながら自分も強くなっていくタイプであり、この先もまだまだ成長の余地十分とみる。
[記事:沢朋之]