トップ

【無料記事】
ハード面改革による選手相場変化

○●沢朋之○●
今年も残すところあと2ヶ月。毎年のことながら、あっという間に年末のSSを迎えることになるんでしょうなぁ。トシは取りたくないもんだ。

さて、先日の川口・SG全日本選抜では「消音マフラー」そして「新型クラッチ」により、各所で選手の動きに変化が見られた。消音によるドドドの多発、スタートの上昇・劣化などなど。これは車券対策上もかなり重要なことなので、今回は皆で知ってる限りの情報を出し合いましょう。

まず消音マフラーについて
ここまでの情報・知識を総括すると…
(1)通常マフラーに比べて全体にパワーが落ちる
(2)ゆえに、スタートや直線の持って行きが良くない
(3)ドドドが出やすい
(4)取り付けることによりフレームの「しなり」がなくなり、乗りづらくなる
(5)性能の個体差はある

…といったあたりか。(1)~(3)は構造上仕方のないところで、皆条件は同じなので、選手各自の整備力(エンジンとの合わせや取り付け)が問われるところ。(4)は中村雅人選手のコメントによく出てくるのはご存知の通り。これもまぁ、皆条件は同じなので。

最大の問題は(5)。
マフラーごとの性能の差は厳然としてあるようで、いわゆる当たりマフラーと外れマフラーがあり、その差は結構大きいと。具体的にはエンジンの回転の上がりが全然違ってくるそうだ。

直近で一番わかりやすい例が、近況奇跡の早期復活を果たした浦田信輔選手
復帰戦となった全日選前の川口普通開催では、マフラー的にもかなり良かったようで初日から超抜の動き。しかし次の全日選では、マフラーが変わったために(エンジンは前節から何もしていないのに)、とたんに回転が上がらなくなったそう。
「肝心のSGでハズレを引いちゃいましたね…」と、先日の浜松前検ロッカーで振り返っていた。

以前にも記した通り、9月から消音マフラーは前検日の抽選制になっているわけだが、ボートレースのモーターのようにそれぞれに固定の番号をつけて管理しているわけではなく、その節が終わって全選手が外した時点で全てシャッフルされ、次回はまたそれぞれ違う番号を付せられての抽選となるらしい。

ゆえにマフラーごとの勝率データなどは取りようがないわけで、選手も引いた時点でそれがいいマフラーなのか駄目マフラーなのかはわからないと。これって…なんだかなぁ、と思いません?
固定の番号は振るべきでしょう。そうすれば選手もファンもデータが取れるし、出走表や新聞にもマフラー番号を載せれば、重要な予想ファクターになり得る。

ボートでも「エースモーター」を引いた選手には、たとえ格下でも印がついたりするわけで。エンジン性能にモロに関わる部分だけに、情報提供はすべきかと思うが、いかがか。

あと、これはまだ憶測にすぎないが、あまり個体差があるようだと、そのうち開催中に選手同士でマフラーの交換とか、そういう動きも出てくるのではないか?
良いマフラーを引いた選手が勝ち上がりから洩れた場合、勝ち上がった仲間の選手にそれを貸す…というような。
更にややこしいことになるので、開催中の交換・譲渡は不可というルールを早めに作っておいた方が良い。それにはやはりマフラーに固定番号を付けないことには。

そしてクラッチの問題
現在業界内では、仕様の違う新旧のクラッチが共存しているわけだが、それ自体ご存知ないファンの方も多いようなので、こちらもそれぞれの特性を記しておこう。

(1)旧型はあと数年でそのパーツ各種が在庫切れとなるので、各選手、それまでに新型へ移行しなければならない
(2)29期生以降は訓練時新型(デビュー後旧型にしている選手もいる)
(3)新型は旧型に比べて切れるポイントの幅が狭い
(4)そのかわり、旧型に比べて切れれば伸びていく
(5)クラッチ盤が長持ちする

という具合か。最近新型に移行してスタートが切れずに悩む中堅選手(浜野淳選手あたりが代表格か)が多いのは(3)ゆえ。
逆に29期以降の若手は最初から新型なので、いわば「これが当たり前」。というわけで、その差は大きい。
思い出してみれば全日本選抜優勝戦。自らインを選んだ永井大介、中村雅人よりも、外の青山周平ー鈴木圭一郎がスタート飛び出して行ったのは、まさに「新型世代」が、その特性を活かして車を伸ばして行った…と考えられなくもない。
以上、今現在のオートレースにおいて、消音マフラーと新旧クラッチによる選手相場の変化は、我々取材・予想担当者も、車券ファンの皆様も十分意識しないことには、何が何だかわからないうちに大負け…ということにもなりかねない。
近況のロッカー取材記事では、そのあたり折に触れ書かせていただいているので、ぜひ読み流すことなくチェックしていただきたい。

○●ジェット社○●
確かに、「消音マフラー」と「新型クラッチ」によって、選手の動きが変わっているような気がします。

まず「消音マフラー」には、永井大介選手が苦しんでいますよね。
SG全日本選抜では4連勝するなど、兆しが出ましたが、肝心の優勝戦ではドドドが出たらしく、準決勝までの足色がなくなっていました。

永井大選手は7月のキューポラ杯でも、3日目までは良かったのですが、4日目の準決勝では6着大敗。この時も、「何も変えていないのに、なぜ?」とコメントしていました。
SG全日本選抜では、「マシンは封印」と言ってましたし、変調しないように手を合わせて祈るシーンがありましたが、またしても突然にドドドが出てしまったようです。

■沢補足
(永井選手の優勝戦のドドドは、替えたフロントタイヤが原因?の模様)

その他にも、消音マフラーのキューポラ杯で優勝した木村武選手をはじめ、消音マフラーで動き良かった新井恵選手丹村司選手など、マフラーが抽選式になったせいか、直近の消音マフラーのレースはあまり良くありませんでした。
このように、消音マフラーに実績ある選手でも、次の節はわからないという状態ですね。

「新型クラッチ」では、不振に陥っている代表格が浜野選手。正直なところ全然切れていないですね。
SG全日本選抜では、得意のオープン戦にも関わらずダメでした。浜野選手も懸命に合わせようと、クラッチのセッティングはもちろん、スタート練習も毎日複数回やっておりましたが、成果が出ませんでした。
その後、浜松普通開催に出場し、優勝戦まで進出するも、その優勝戦では空回りして大出遅れしていました。未だに巧く扱えていない様子です。

選手の話によれば、「新型クラッチ」は、反応が良いが、クラッチレバーの操作の幅が狭いとの事です。イメージ的には、従来のクラッチなら、レバーを離すにつれて、その分だけ徐々に動力が伝わる感じでしたが、新型クラッチは、反応が良く、いきなり動力が伝わる感じらしいです。
でもまぁ、全国でも指折りのスタート巧者の浜野選手ですから、自分に合ったセッティングを見付けて、切り方のコツもそろそろ掴み始めれてくるでしょう。また大舞台でトップスタート行く姿を見せてくれると思いますよ。

そして、33期候補生の養成が始まりました。男子13名、女子が7名、合計20名がこれからオートレーサーとして育成されます。

中でも注目されるのは、黒川京介候補生高橋絵莉子候補生
黒川候補生はポケバイ出身で、鈴木圭選手がSG制覇した事が刺激になったとコメントしていました。
高橋候補生は全日本モトクロス選手権レディースクラス4位の実績を持ち、益選手や摩弥選手のように男性顔負けの走りをする選手になってくれるかもです。
今期はどんなスター選手が誕生するのでしょうか、すごく期待が膨らみます。


○●佐藤ゆう○●
最近は朝晩すっかり冷え込んできましたが皆様体調崩されていませんか?
そんな中、先日川口でSG全日本選抜が行われましたが、ナイター開催で消音マフラーを使用。まだ消音マフラーが出たての頃は多くの選手がドドドに苦しんでいた印象でしたが、ここ最近は『消音マフラーだからドドドが出る』とコメントする選手が減ったように思います。

私が実際に取材している中でも、『マフラーの装着に慣れてきたからでは?』という話も聞いたように、マフラーの付け替え時にしっかり締めていなかった事や少しのズレがドドドに繋がっていたのかもしれませんね。
伊勢崎所属の西原智昭選手、川口所属の早船歩選手は消音マフラーの方が合っているようです。結果も出ていましたね。

また、「新型クラッチ」に関しては未だ苦戦している選手が多いと思います。
特に旧型クラッチに比べて浮く事が多い印象。SGなど大きな大会になると旧型クラッチに戻す選手も少なくないですし、各選手慣れるのに時間を要していますね。逆に『新型クラッチの方が切れる。』というコメントは私は未だ聞いた事がないのですが。

レースデータ提供:公益財団法人JKA
(C)Autorace Mobile
(C)2024 CYBIRD