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【第2回】選手のコメントを読み解く(緒方浩一・渡辺篤・益春菜)




緒方浩一(30期、山陽)~究極のラッパ隊長~

オートレース業界は、古くから「多くを語るべからず」「謙虚であれ」がマスコミに対する選手たちの基本姿勢でした。

しかし、時は流れ、最近はコミカルな発言や強気なコメントを発する選手が少しずつ増えてきました。
ファンの立場からすれば「状態は普通です」というやや曖昧なコメントよりも「優勝します!」という痛快な宣言を聞きたいはずだし、
「一生懸命頑張ります」よりも「ベットオンミー!」の方が明らかにテンションと車券の購買意欲は高まります。

緒方浩一はアゲアゲのコメントを発する選手の代表格です。
シリーズ前に抱負を聞くと「優勝を狙わない選手がいますか?」
最下位に大敗した後は「必ず エンジンを立て直して激変させてみせますから、ぜひ見ていてください」
厳しいメンバー構成の時は「いやあ、倒しがいがありますね~。大物をやっつけます。穴を出しますよ」

とにかく、ポジティブで前向きな発言が多いです。
前検日、または初日の段階で堂々と優勝宣言をぶっ放してくれるのは、加賀谷建明佐藤貴也、そして緒方だけです。

マスコミ業界では、大きなことを宣言することを「ラッパを吹く」と言いますが、緒方さんはまさにラッパ隊長です。
自分もよく車券を購入しますが、買う側のファンは湿ったコメントよりも、やっぱり夢を持たせてくれるような発言を聞きたいものです。
量販店にカメラを購入するために向かって、店員から「う~ん、このカメラはいい写真が撮れなかったり、撮れなかったりするんじゃないですか。価格ですか?まあ、お得のようなそうでないような…」と説明されては購買意欲は増しません。
「いやあ、これはお買い得ですよ~。旅行とかで使う分には、十分過ぎるほどの機能です。価格も今週からさらに割り引いております。ぜひ、お買い求めを!」と言われた方がもちろん購買意欲は高まります。
緒方店長のコメントはまさにこれです。

強気なコメントとは裏腹に、緒方選手は繊細で気弱になりやすい性格なのかもしれません。
以前、「あえて強気なコメントをして、自分を奮い立たせているところはあるかもしれません。言ったからからには、結果を残す。そんな感じですね」と伝えてくれました。
弱気になりかけた時に、自分を追いつめるような高いハードルを設定して、己に克つ
そのための強気発言なのかもしれません。

オートレースで勝つのはひとりだけです。7人は負けてしまいます。
ファンの立場でいえば、「勝ちます!」と言って負けても、そこまでの立腹はないかと思います。
でも、「だめです」とコメントしておきながら、好走されてしまう方が何となくムズムズしてしまうのではないでしょうか。

佐藤貴也選手が「ベットオンミー!」と声高らかに宣言して、例え結果を残せなくても、「おまえが買えというので買ったけれど、外れたじゃないか!」というクレームはあまり聞きません。
でも、勝利インタビューなどで佐藤選手が「ベットオンミー!」を発しないと、ステージ前のファンは「ベットオンミー!を言ってよ!」とリクエストがあるほどです。そんなものです。

これからも緒方節を楽しみにしています。コースでトークでファンを盛り上げてください。


レースデータ提供:公益財団法人JKA
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